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いて座(射手座、Sagittarius)は、黄道十二星座のひとつ。 トレミーの48星座に含まれる。 冬至点や銀河の中心がこの星座の領域にある。
星座は、ティーポットと呼ばれる星群によって容易に認識可能である。 この星座の東側にあるζ,τ,σ,φ,λ,μ の6つの星が、北斗七星に似たひしゃく状に並んでいることもあって、中国では二十八宿の一つ斗宿とされており、 日本でもこの部分を「南斗六星」と呼んでいる。 西欧でも「ミルクディッパー」と呼ばれることがある。 この星座はα星ルクバト(「射手のひざ」の意)が4.0等級の暗い星で、 これより明るい星がいくつもある。
その他に固有名がついている星には、

β星アルカブ(射手のかかと)

γ星アルナスル(矢の先端)

δ星カウス・メディア(弓の中央)

ε星カウス・アウストラリス(弓の南)

ζ星アスケラ(腋の下)

λ星カウス・ボレアリス(弓の北)

σ星ヌンキ(海のしるし)
などがある。
主な天体
いて座は、銀河系の中心がある方向なので、天の川の密度はこの付近が一番濃い。したがって、写真を見ると、いて座には赤色をした多くの星雲があるほか、星団もみとめられる。
そのうちの1つは、δ星の西7.5°の場所にある球状星団M55。
いて座λ星の近くの散光星雲 M8 (干潟星雲)は、望遠鏡で見ると美しい。 たて座境界付近のω星のそばには、オメガ星雲、白鳥星雲または馬蹄形星雲と呼ばれる M17 がある。この天体は、ケンタウルス座のオメガ星団と誤りやすいので注意する必要がある。
また、M8 の北には大きな散光星雲である三裂星雲 (M20) もある。ここには若くて温度の高い星がいくつもある。
銀河系中心に関係のある電波源いて座Aもある。天文学者は、いて座Aが大質量のブラックホールを含むかもしれないと考えている。
歴史
いて座の設定は古く、シュメール文明に起源を持つとするのが定説である。バビロニアのネブカドネザル1世時代(紀元前1300年頃)のものとされる境界石標には射手と馬ならぬさそりが合体し、さらに羽根を生やしている蠍人間として描かれている。 アシュールバニパル時代にはパ・ビル・サグと呼ばれ、半人半馬で蠍の尾を持った姿で「ギルガメッシュの叙事詩」にも登場する。
神話
偽エラトステネスは著書 Καταστερισμο? 『カタステリスモイ』において、この星座をケンタウロスと見る多数派とそうでない少数派がいると記している。ケンタウロスではないと主張する人たちの根拠として、ケンタウロス族は弓を使わないこと(但しローマ時代のコインには弓を引くケンタウロスが刻まれている)、星座の下半身が見えないことを挙げ、ケンタウロスではなくサテュロス(馬の足と獣の様な尾を持っている)としている。
偽エラトステネスは、アレキサンドリア派プレヤード詩人のひとりソシテオスの伝える話として、このサテュロスを弓を発明したクロトス(Crotus)と同定し、ケンタウロス説を否定している。クロトスは、ムーサイの乳母だったエウペーメー(Eupheme)の息子である。クロトスがサテュロスなのは、ヒュギーヌスによれば、彼の父がパーン(Pan)であるからだという[2]。彼はしばしば、自分が発明した弓を持ち、馬に乗って狩りに出かけたという。クロトスは、ヘリコン山で共に暮らしたムーサたちの、彼の弓の技量を空で顕彰してほしいとの願いによって、ゼウスに頼んで星座にされたという。
俗説としてケイローンの神話が語られているが、上記のように、この射手をケンタウロスと見る一派は存在したものの、ケイローンと結び付けている伝承は存在しない。
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一口コメント
黄道十二星座の一つで、星占いにも身辺的に登場する。
中国や日本では箕星<みぼし>・南斗六星<なんとろくせい>(南斗<なんと>)と呼ばれ 散開星雲M8/干潟星雲やM20/三裂星雲が有名である。
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